【事例】300℃超の高温環境向け・サーモスタット用グラファイトパッキンの開発

1. 300℃超の高温環境におけるサーモスタット用シール材の課題

今回の事例は、サーモスタット・キャピラリー部のシールに関する内容です。
使用環境が300℃を超える高温になることから、一般的なゴムパッキン(耐熱110℃程度)や、耐熱性に優れるフッ素ゴムパッキン(耐熱200℃〜250℃程度)では熱劣化により対応できず、耐熱400℃以上のシール材が求められていました。
そのため、耐熱性の高いグラファイトパッキンへの材質変更の検討が始まりました。

しかし、材質変更にあたっては以下の2つの課題を解決する必要がありました。

  • 耐熱性の不足(ゴムからの材質変更)
    300℃を超える過酷な高温環境下でも、長期にわたって安定して機能するシール材の選定が必要でした。
  • 長尺ケーブルの組み込み作業性(アッセンブリの課題)
    サーモスタットのケーブル長が約10mあり、極小サイズ(内径1mm)のパッキンにケーブルを通し、滑らせて配置する作業が非常に困難でした。

このように、高温環境に対応しつつ、長尺ケーブルの組み込み作業性を考慮し、良好なシール性と円滑な作業性を両立させることが強く求められていました。

本事例の解決ポイント

検討項目 課題・要求仕様 私たちの解決策
使用温度環境 300℃超(フッ素ゴム等では熱酸化・硬化する環境) 耐熱400℃以上のグラファイトパッキンへの代替を提案
組み込み作業性 約10mの長尺ケーブル、内径1mmの極小パッキンへの通し作業が困難 現場での破損リスクを防ぎ、長尺ケーブルの組み込み作業を円滑にする「デジック独自の特殊加工」を適用

【補足】なぜ、ゴムパッキンでは耐えられないのか?

一般的なゴムパッキンやフッ素ゴムパッキンは、一定以上の高温環境に晒されると熱酸化が加速します。その反応により、パッキンがガチガチに硬化し、潰しても伸びず弾性が失われてしまいます。そしてそこから隙間が生じてしまうことでシール性が下がり、液漏れ・ガス漏れへの原因につながるのです。

2. グラファイトパッキン採用と「独自の特殊加工」による解決プロセス

これらの課題を解決するため、私たちは30年以上の実績に基づく知見から、以下の提案および試作評価を行いました。

  • 耐熱シール材「グラファイトパッキン」の採用
    高温環境下でも安定したシール性を発揮するグラファイトパッキンを提案しました。長年の製作実績に基づく既存の金型を流用することで、初期検討時の試作をスピーディに実施しました。
  • 作業性を改善する「デジック独自の特殊加工」の適用
    長尺ケーブルを通す手間を省き、かつグラファイト特有の材質特性による破損リスクをクリアするため、パッキンにデジック独自の特殊処理・加工を施しました。
    長年の知見を活かし、現場での確実な作業性を担保しつつ、シール性を損なわない最適な形状と加工手法を採用しています。

3. 実機テストによる高温シール性と作業性改善の検証結果

開発した独自加工仕様のグラファイトパッキンを用いて、実機での組み込みテストおよび評価を行い、以下の成果が確認されました。

  • 高温環境下において、良好なシール性が確認
  • 懸念された温度による劣化も見られず高い耐久性を確認
  • ネックとなっていた現場での組み込み作業性も大幅に改善

4. 高温シール材の選択肢を広げる今後の展望とご相談

今回の開発により、300℃超の高温環境への対応と現場での作業性改善が両立されたことで、本製品は現在も量産品として継続採用されています。

私たちは、30年以上の制作実績に基づいて得た知識と経験を活かし、皆様の高温シールに関する課題を解決すべく、試作・検証を行い日々試行錯誤を繰り返しています。
高温シール材は、ゴムパッキンしか選択肢がないわけではありません。
今回ご紹介したグラファイトパッキンの事例のように、素材や加工の工夫次第で解決できる可能性があります。
もし、高温環境におけるシール材に関してのお悩み・課題、「こんなことができないだろうか?」という疑問がありましたら、メールでもお電話でも、お気軽にご相談ください。
お客様の製品特性や使用環境などを考慮し、共にお悩みや課題を解決できる提案やアイデアを提供させていただきます。

グラファイトパッキンに関することなら、お気軽にお問合せください。

このページの先頭へ戻る