【事例】300℃を超える高温環境下での吸着搬送ユニットのシール改善

  • 【業界】 産業機械メーカー様
  • 【対象機器】ワーク吸着搬送ユニット(ヒーター加熱機構付き)
  • 【採用製品】グラファイトパッキン(金型成形品)

1. 背景と課題

「最高グレードのフッ素ゴム製Oリングでも、300°C以上の熱に耐えられない」

お客様は、ワークを吸着・搬送する新型装置の開発において、シール材の耐熱性不足という大きな壁に直面されていました。

この装置はヒーターによって360°C近くまで加熱される環境でありながら、同時に吸着用のエア経路を確保する必要がありました。
当初は、耐熱性に優れた最高グレードのフッ素ゴム製Oリングを使用されていましたが、それでも耐熱温度が足りず、代替となるシール材を模索されていました。

2. 導入までのプロセス

ゴム製品では対応が困難な温度域であるため、弊社からは耐熱性に優れた「グラファイトパッキン」への変更をご提案しました。
しかし、グラファイトはゴム製Oリングと異なり復元力(弾性)が少ないため、単に材質を置き換えるだけでは十分なシール性を発揮できません。
そこで、以下の技術的なサポートを行いました。

設計段階からの技術支援

グラファイトパッキンは、装着後に強く圧縮して密度を高めることでシール機能を発揮します。
そのため、パッキンの厚みに対して適切な「溝深さ」を確保し、密度を上げるための設計数値をアドバイスさせていただきました。
また、隙間からの漏れを防ぐため、逃げ代を極力少なくする溝の公差設定についても推奨いたしました。

既存金型を活用したスピード対応

当初お客様が希望されていた寸法とは別に、近似寸法の既存金型を活用する案をご提示しました。
これにより、新規に金型を起こすコストと時間を削減し、スピーディーに評価試験へと進むことができました。

3. 検証結果

300℃超の環境下での安定稼働を実現
検証の結果、懸案であった300℃を超える環境下でも問題なく使用できる耐熱性が確認されました。

また、事前に計算された「つぶし代」設定により、グラファイトが溝の隙間を適切に埋め、安定したシール性を発揮することが実証されました。
ゴム製Oリングでは実現できなかった高温域での吸着搬送が可能となり、装置開発の課題を解決することができました。

4. 今後の展望

今回の事例により、ゴム製シール材の限界を超える高温環境下でも、適切な設計と素材選定を行うことで、真空・吸着ラインのシールが可能であることが実証されました。

弊社では単に製品を納入するだけでなく、グラファイト特有の性質を踏まえた「溝寸法の設計」や「公差設定」の段階からサポートすることで、お客様の設計リスク低減と開発スピードアップに貢献してまいります。

グラファイトパッキンに関することなら、お気軽にお問合せください。

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